本当に正しい移動平均線の使い方

いよいよチャート分析について解説をしていきます。

様々あるテクニカル指標(インジケーター)の中でも、もっともポピュラーなものが移動平均線です。英語ではMoving Averageというので略してMAと言ったりします。

この移動平均線は世にあるFX入門本やホームページでは必ず説明されているので、知らないという人はまずいないと思います。

しかし、実用的な移動平均線の使い方を知っている方は意外と少ないのではないでしょうか?

ここでは移動平均線の基本から実践的な使い方までご紹介していきます。

Contents

移動平均線の基本

まずは移動平均線の基本について学んでいきましょう。知っている方は飛ばしてもらって大丈夫です。

移動平均線とは、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせた線のことです。

例えばドル円の終値が次の通りだったと仮定しましょう。

1日目・・・100.000

2日目・・・100.500

3日目・・・101.000

4日目・・・100.700

5日目・・・101.800

6日目・・・102.000

7日目・・・101.500

1日目から5日目までの価格の平均が100.8円になります。この数値を5日目に配置して、移動平均線の起点とします。次に、2日目〜6日目までの平均値は101.2円です。これが、移動平均線の次の点です。この点と点をつなげると線になりますね。以上の計算を繰り返して、移動平均線が作成されます。

時間足についても同様の計算がされて移動平均線が表示されます。

使用するパラメーター

移動平均線は自分で自由にパラメーターを設定することができます。

6日移動平均、25日移動平均、100日移動平均といった形ですね。

どれを使ったらいいか分からん(;´Д`A

となってしまいますが、基本的には多くの人が使っているパラメーターを採用するというのが良いでしょう。では多くのトレーダーはどんなパラメーターを設定しているのか紹介しましょう。

短期移動平均線

「6」を設定する人が比較的多いと思います。1時間足なら1/4日となるので、キリの良い数字にもなります。

「5」や「12」を設定する人も一定数いますが、私の師匠も、かの有名なBFNさんも「6」を使っていました。

中期移動平均線

「21」「24」「25」を設定するトレーダーが多いと思います。

私は短期は非表示で、「25」を選んでいます。これは外人が25という数字が好きだからという理由です。アメリカでは25¢硬貨がありますよね。またバスケットボールの時間の区切りも「クォーター(1/4)」となっています。1/4とか25というのは区切りの数字と考えられている、だから外人トレーダーは移動平均線のパラメーターに25を使っているんじゃないかなーという想像でこれを使っています。

また「24」は時間足にしたら、一日の平均なのでこれも使っている人が多いと思います。

長期移動平均線

「50」〜「55」を使う人が多いと思います。

私は「50」を選んで使っています。これも単純に100の半分、25の倍というキリのいい数字だからです。

その他移動平均線

「100」「200」「300」といったキリのいい数字の長期移動平均線を使う人もたくさんいます。いずれもキリがいい数字なので、表示させている人が多いようです。

私は「100」の移動平均線を表示させています。

パラメーターはコロコロ変えないこと

パラメーター選びで大事なのはコロコロとパラメーターを変えないことです。

昨日までは中期移動平均線で「21」を使っていたのに、今日から「24」にしてみるとかですね。

結局、パラメーターを1つ、2つズラしたってあんまり変わらないですよ!

「21」が機能するか、「24」が機能するか、はたまた「25」が機能するか、というのは時と場合によりけりです。一時期は「21」が機能したけど、また別の時期には「25」の方が機能するというのは良くあることなんです。

大事なことは同じものをずっと使い続け、それに慣れるということなのです。

SMAとEMA、どちらを使えば良いの?

移動平均線には単純移動平均(SMA)と指標平滑移動平均(EMA)の2種類があります。

単純移動平均は上で説明したように、終値の単純な平均を出しているものです。

一方、指標平滑移動平均(EMA)は、直近のレートの方が重要であるという考えのもとに、現在より遠い価格になればなるほど小さい価格になるように一定の割合を掛けていくというものになります。

つまり、SMAよりEMAの方が、現在のトレンドにより敏感に反応するというものです。

いったい、どちらを使えば良いのか?

よくあるブログなんかでは「EMAがおすすめ!」「初心者はSMAを使うが、上級者になるほどEMAを使う」なんて書いてあったりします。

しかし、約7年の相場経験を経た私が言うには、

SMAでもEMAでも、どっちでもいい!

「ふざけんな!いい加減なことを言うな!」なんて声も聞こえてきそうですが(笑)、本当にどっちもそんなに変わりませんよ。

ちなみに私はSMAを使っています。
EMAのロジックってイマイチ分からないんですよね〜

それに私の直感ですが、「何となくEMAの方が複雑で難しいから正確なんだろう」と使っている方が多いとは思いますが、ぶっちゃけSMAの方が使われていると思います。

日本人はなぜか複雑なものが好きなんで、日本だけ見ればEMAが多いかも知れませんが、世界中を見渡したらSMAが主流だと思います。

とは言え、ずっとEMAを使ってきた方に「SMAにしろ!」とは言いません。要はSMAでも、EMAでも慣れることが一番大事だと思います。

移動平均線の使い方(基礎)

ここからは移動平均線の使い方を紹介していきます。まずは移動平均線のオーソドックスな使い方からです。既に知っている方も多いと思いますので、ここはすっ飛ばして次に行ってもらっても大丈夫です。

移動平均線の基本はトレンド(傾向)を知る

移動平均線の最も基本的な使い方は、

相場のトレンドを知る

ということです。

単純な話で移動平均線が上を向いていれば上昇トレンド、移動平均線が下を向いていれば下落トレンドとして見るものです。

移動平均線が上向きなら上昇トレンド
移動平均線が下向きなら下落トレンド

これには使う移動平均線によって注意点があります。

スパンの短い移動平均線を使う場合には、トレンドの転換に敏感になりますが、ダマシが多くなります。

逆にスパンの長い移動平均線を使う場合には、ダマシが避けることができる一方で、トレンドの転換には疎くなります。

どちらも一長一短なので、使う移動平均線は慎重に考えなければなりません。

ゴールデンクロスとデッドクロスで
相場の転換ポイントを知る

移動平均線はトレンドやタイミングを探るのに有効ですが、2本、3本と複数の移動平均を同時に使ってさらに効果的な分析が可能となります。

スパンが異なる移動平均線から相場を分析するポピュラーなシグナルに「ゴールデンクロス」「デッドクロス」があります。

ゴールデンクロスとは、スパンの短い移動平均線がスパンの長い移動平均線を下から上にクロスすることです。短期線の上昇速度が長期線の上昇速度を上回っていることから「買い」のサインとされています。

ゴールデンクロスは相場が上昇相場に転じ、買いのサインとされる

逆に短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から白にクロスするのが「デッドクロス」です。短期線の下落速度が長期線の下落速度を上回っていることになるので、こちらは「売り」のサインとされています。

デッドクロスはトレンドが下落に転じ、「売り」のサインとされている

ゴールデンクロスもデッドクロスも相場分析の基本で、多くのトレーダーが用いていますが、トレンドの転換や売買サインが間違って示される、いわゆる「ダマシ」が多いので、こればかり過信するのは禁物です。

乖離幅を活用する

移動平均線は乖離幅を活用することもできます。

現在の価格が移動平均線からかなり離れてしまった場合に、その移動平均線に引き寄せられるように近づいていくことがあります。

これを利用してトレードを行うのです。

移動平均線から価格が大きく乖離すると反発する

例えば丸を付けた部分は移動平均線から価格が大きく乖離しています。そして移動平均線へ近づくように価格が上昇していきます。

このように移動平均線の方向へポジションを建てていくという手法を用いることができるのです。

この手法で有名なのが、BFNさんですね。株取引で莫大な財産を築いて、一時期TVでもよくインタビューを受けていました。彼も移動平均線との乖離率を気にしているという事を言っていました。

このやり方では移動平均線のパラメーターはなるべく短期に設定することがコツとなります。BFNさんの場合は6日移動平均線を設定していたようです。

注意点としては、乖離幅があっても価格が移動平均線の方向に動くとは限らないということ。価格はそのまま、もしくは移動平均線から離れるように推移し続けて、それに移動平均線が追いついてしまうという現象です。

移動平均線が価格に追いつくパターン

丸を付けた部分は移動平均線から乖離していますが、それを埋めようと移動平均線が追いついてしまうという、この手法が使えないパターンです。

こういった事が起こるので、パターンの見極めと損切りの技術力が問われる上級者向けの手法なんです。

本当に正しい移動平均線の使い方

ここから!私が提唱する移動平均線の使い方を紹介します!

とは言っても、既にご存知の方もいるかと思いますので、あんまり期待し過ぎないで下さい(笑)

意外とこの使い方を知らない人も多いのが事実なのです。

移動平均線はサポート・レジスタンスとして使う

移動平均線はサポートライン、レジスタンスラインとして使うというのが、私がおすすめした移動平均の使い方です。

まずはSMA100を表示させた2つのチャートをご覧下さい!

SMA100が下値を支えるサポートラインとなっている
SMA100が上値を抑えるレジスタンスラインとなっている

このように移動平均線はサポートライン、レジスタンスラインとして機能することがあるのです。このままエントリーポイントとして使うことができますね!

移動平均線をサポート、レジスタンスで使う際の注意

移動平均線をサポートライン、レジスタンスラインとして使う場合の注意点ですが、

いつも機能する訳ではないということ

移動平均線がサポートとしてもレジスタンスとしても機能しないことは多々あります

では移動平均線がサポートライン、レジスタンスラインとして機能するかどうかの見極めはどうするのか?

そのコツは、

1発目は見逃して、2発目、3発目を取る

ということです。

①は見逃して、②、③を取る

①の時点では移動平均線がレジスタンスとして機能するかどうかは分かりません。しかし、一度移動平均線で反発をすれば、市場は「この移動平均線は意識されている!」と察知して、多くのトレーダーがその移動平均線でポジションを試みるようになります。

それを利用して取っていくのです。

1発目は見逃してOKです。2発目、3発目を取りましょう。もちろん4発目、5発目もとことん狙っていきましょう。そして、一旦ブレイクしたら、ポジションは損切りして、その移動平均線は賞味期限切れとして、次からは狙ってはダメです。

「結局最後は負けるんじゃん」

それでいいんです!
2発目で50pips取って、3発目で失敗-20pipsとなっても、トータルでは+30pipsを稼げているのです。

FXはすべてのトレードで勝つことはできません。小さな負けを重ねて、勝つ時にドカンと勝てば良いのです。

その意味でもこの移動平均線の使い方は理に適っていると思いませんか?

本当に正しい移動平均線の使い方・まとめ

  1. 移動平均線はサポートライン、レジスタンスラインとして使う
  2. 1発目の反発は見逃して、2発目、3発目の反発を狙う
  3. 一度ブレイクした移動平均線は狙わない

これらを知っているだけで、得られる収益を大きく変わってくると思いますよ!