投資・投機にはリスクが付き物です。最初に言っておくと、FXにも資金以上のお金を失ってしまうというリスクがあります。
一般的に「FXはリスクが高い」と言われています。全ての投資は必ずリスクが伴うのですが、とりわけFXのリスクが主にクローズアップされます。
株やNISAにもリスクは伴うのですが、新聞やテレビなどのメディアは株・NISAのリスクを感じさせないような表現をして、FXのリスクは誇張とも言えるように大々的に伝えているように思えます。
FXトレーダーを長年やってきている私の個人的な意見としては、「政府の経済政策、景気対策のため株投資に目を向けさせようとイタズラにFXのリスクを煽っている」ような感覚さえ覚えます。
とは言え、FXを行う上では(FXのみならず株や先物も含めて投資全般そうですが)、それに伴うリスクを十分に理解して、予め対策を立てて置かなければなりません。リスク管理がしっかりできていれば、資金以上にマイナスになったりなどの可能性を大きく抑えることができます。
ここではFXを行う上で理解すべきリスクとその対策を説明していきます。
レバレッジのリスク
FXの最大の魅力でもあるレバレッジですが、これは自身の資金以上の金額のトレードを可能にするものです。プラスになれば少ない資金でも大きく稼ぐことができます。しかし、考えたのとは反対に相場が動いた際に大きな損失を被ることになります。場合によっては資金以上もの損失を被ることもあります。
レバレッジリスクへの対処方法は損切り(ストップ)
損切りとは損失がそれ以上大きくならないように、ある程度のマイナスの時点で決済をしてしまうことを言います。
損切りは自分で裁量で行うこともできますが、損失が決めた額になった時に自動的に損切りを実行するストップ注文を入れることをお勧めします。
寝ている時や仕事中などFXの取引ができないときに急に相場が動いて大きく変動することもあるので、そうなった際に許容できる損失額以上に損失が大きくならないように予め注文を入れておくことができるのです。
これは資金を守るための術なので、必ずストップを入れるようにしましょう。
マイナー通貨は取引しない
取引できる通貨は大きくメジャー通貨とマイナー通貨の2つに分類できます。
メジャー通貨は米ドル、カナダドル、ユーロ、ポンド、オーストラリアドル、日本円といったように通貨の取引量が大きく、政治や経済など社会情勢も比較的安定している国の通貨です。
マイナー通貨はニュージーランドドル、ロシアンルーブル、トルコリラ、南アフリカザールが代表的なところですが、こちらは通貨の取引量が少なく、また政治や経済の社会情勢が安定していない国の通貨です。
こうしたマイナー通貨はスワップポイントが大きく、1万通貨でも持っていれば1日で数百円、数千円というスワップポイントが付いて来るので、スワップポイントで儲けようという考えのトレーダーが軽い気持ちでトレードしがちです。
スワップポイントでは稼げないというのが私の持論で、その理由についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
https://fx-kawase.site/wp/trade-theory/2016/06/30/00/54/45
一方でマイナー通貨は変動が大きすぎるという一面があります。取引量も小さく、戦争や紛争がいつ勃発してもおかしくないという状況だと為替相場の変動が大きく、ストップを入れた額で注文が成立しないで、結果として資金以上の損失を被ってしまうという可能性があるのです。
メジャー通貨であれば取引量が多いので、予想外に大きく相場が変動することも少ないのです。なのでストップの注文が指定した値で成立しやすのです。
メジャー通貨を取引するというのは自分の資金を守るためでもあるのです。
参考:ニュージランドドルはメジャー通貨に非ず
上ではニュージーランドドルをマイナー通貨として扱っております。ニュージーランドドルはスワップポイントが高く、昔からポスト・オーストラリアドルと呼ばれていて、取引するトレーダーも多いのですが、これもマイナー通貨の一つで、私は取引をあまりお勧めしません。
オーストラリアは資源国で経済的な基盤もしっかりしているので貨幣価値が安定していると言えます。そこでニュージランドも近いから同様だろうと思われてる方がいます。
しかしニュージーランドの国土は日本とほぼ同じくらい、金などの貴金属や鉱石は取れず地下資源が豊富とは言えません。有望な産業といえば羊毛くらいです。
ニュージーランドの経済規模でいうと、GDPはおよそ1,700億米ドル。
オーストラリアの約1.4兆米ドル。ちなみに日本は約5兆米ドル。
ニュージーランドの経済規模はなんとオーストラリアの1/10しかないんです!
経済規模が全然違いますね。
参考:外務省H.P.http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nz/data.html
こういった事実を知らずにニュージーランドドルを取引していると、思わぬ急激な価格変動に巻き込まれて痛い目に遭ってしまいますよ!
うねり取りなどで長期取引される方で、スワップポイントも着いたほうがいいと思う方であれば豪ドルの取引をするようにしましょう。
為替変動リスク
FXは為替の価格変動から利益を得るものになります。
しかし、想定していたよりも大きく、しかも突然のように価格が変動する事があります。そうした結果、思わぬ損失を被ることもあります。
こうした為替変動リスクに対処する為には「重要指標・イベントを把握する」ということ、それからやはりここでも「マイナー通貨は取引しない」という事が挙げられます。
重要指標・イベントを把握する
為替の値が大きく動くポイントとして、国々が発表する指標というものがあります。
指標とは国の経済状況などを推し量るもので、国の失業率であったり、先物価格の変動などがあります。
こうした指標が発表されるタイミングはレートが大きく動くタイミングでもあります。例えばアメリカの失業率が大きく上昇した場合、アメリカの景気が悪化しているという証拠でもあり、その場合ドルを売って別の通貨を買うという動きが加速するからです。
しかし、これについては別の機会でもお伝えしますが、あまり気にしすぎることはないというのが私の考えです。意識するのはアメリカの雇用統計くらい。アメリカの雇用統計は毎回大きなレート変動が起こるので、これがある時には取引しないと決め込むのが一番です。
またイベントについても同様です。最近で言えばイギリスのEU離脱是非を問う国民投票や、参議院選挙など、先のもので言えばアメリカ大統領選挙です。こうした選挙関連のイベントがあると為替相場は大きく動くものです。
こちらに関しても結果次第で思わぬ方向に動く可能性があるので、取引しない方が良いかと思います。
マイナー通貨の取引は避ける
為替変動の視点においてもマイナー通貨の取引は避けるべきだと考えています。
マイナー通貨は国の情勢がメジャー通貨国に比べて安定していないため、先日のトルコのようにいつクーデターが起きるのか、ロシアのようにいつ他国に攻め入って経済制裁を受けるのかが読みにくいのです。
メジャー通貨国であればこうした政変は起こりにくいですし、仮に起きたとしても通貨の取引量が非常に多いため為替変動も小さく抑えられやすいのです。
FX取引業者リスク
これはFX取引業者の倒産リスクやFX事業の撤退に伴うものです。
国内のFX業者であれば会社が倒産した際に預けてある資産の返還は保証されているものですが、こればかりは私も経験した事がないので絶対とは言い切れません。
またFX業者の取引システムに障害が起きることもたまにあります。そんな時に絶好の機会が訪れ、トレードできないというのは悔しいですよね。
こうした事態への対処は、「信用できる業者なのか入念にチェックをする」「口座は複数持ち、資金を分散させる」の2点です。
信頼できるFX業者なのか入念にチェックする
対処方法としては「財務状況が良い業者を選ぶ」ということ、それに加えて一般のユーザーの評判を2chなどの掲示板の書き込みを参考にしてみると良いでしょう。
特に注意しないといけないのは個別に口座を開かないかと聞いてくるようなもの。
聞いたこともないような業者が「スプレッド最小」や「スワップ業界最大」みたいなことを謳い文句にメールやDMで口座開設を持ちかけます。
こうしたものは詐欺被害も報告されているので、「聞かない業者だな」と思ったら、「会社名+評判」と検索して、十分に注意するようにしましょう。
そして海外の業者も注意が必要です。私はメインはXMという海外業者を使っています。
XMは今の所、払い戻しが滞ったりといったことはありません。
しかし中には払い戻しが全然できなかったり、日本へのサービスを停止するといって証拠金を入れたまま回収ができないというケースも多々あるようです。
なので海外業者を使う場合も必ず掲示板を見て評判を確認するようにしましょう。
また海外業者を利用する際には資金は必要以上に入金しない方がいいです。
これは日本のFX業者と違って会社が倒産した際にお金が戻ってくると保証されていないからです。
その半面、高いレバレッジでの取引ができるので、100万円とか200万円とか入金しなくても5万円、10万円で十分なトレードができます。
私もXMには20万円だけしか入金しないで、稼いだ分は都度払い戻しを行っています^^
口座は複数持ち、資金を分散させる
FX業者は一つに絞ってしまわない方が良いです。口座はいくつかに複数持ち、資金は分散させるのが懸命です。
こうしておくと、仮に業者が倒産だったりFX事業を撤退するとなった場合、絶好の機会が訪れてもトレードができなくなってしまいます。こうした場合に備えて口座は複数あった方が良いのです。
また特定のFX業者がシステム障害が起きてトレードができないという事も起こります。そうした場合も口座が複数あれば絶好のポイントでトレードを行うことができます。
ちなみに私はXM、OADNA Japan、ヒロセ通商の口座に分散して資金を入れています。
FXのリスク対処方法のまとめ
FXトレードで起こりうるリスクの対処方法のまとめです。
- ストップ注文は必ず入れる
- マイナー通貨は取引しない
- アメリカの雇用統計と重要なイベントの日時を把握して、その前後は取引しない
- FX業者は一般の掲示板なども含めて評判を入念にチェックする
- 口座は複数持つようにして、資金は分散させる
これらだけで全て万全、危険は一切ない、、、とまではいきませんが、これらができていると起こりうるリスクはグッと少なくなります。
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