4月6日、マネックスグループはコインチェックを買収することを発表しました。
買収額は36億円と言われていますが、
「それって安くない!?」
って思われた方もいるはず。
今回はマネックスグループがコインチェックを36億円で買収できたのか、それってマネックスグループにとってお得なのかをざっくり分かりやすく解説していきます(๑•̀ㅂ•́)و✧
コインチェック買収に至るまでの流れを再確認
日時 | 出来事 |
2018年1月26日 | ハッキングにより580億円相当のNEMを流出 |
2018年1月29日 | 金融庁がコインチェックに対して業務改善命令 |
2018年2月2日 | 金融庁による立ち入り検査 |
2018年2月13日 | 日本円の出金を再開 |
2018年3月8日 | コインチェックに対して2度目の業務改善命令 |
2018年3月12日 | NEMを保有していたユーザーに対する補償を発表 一部仮想通貨の出金・売却を再開 |
2018年3月22日 | 金融庁に業務改善計画書を提出 |
2018年4月6日 | マネックスによるコインチェックの買収を発表 |
仮想通貨NEMの流出からマネックスによる買収発表までわずか2ヶ月半の出来事でした。
こうやって振り返ってみると、あっという間の買収劇でしたね。
買収額36億円は安いのか?
マネックスによるコインチェックの買収額は36億円とされています。
ネットでの仮想通貨トレーダーの声では「安すぎる」というのも目立ちます。
マネックスの側からのメリット・デメリットをまとめてみました。
マネックスのメリット
仮想通貨業者の収益性
マネックスがコインチェックを買収する第一のメリットとして、仮想通貨取引の収益性が挙げられます。
コインチェックは約580億円分のNEMの流出しました。
流出事件を受けてNEMは値下がりしました。
コインチェックはNEMを保有していた顧客に対して当時のNEM評価額である約460億円分の補償対応を発表しました。
約460億円って、これが証券会社やFX会社なら、一発で倒産の額ですよ。
それを支払うということは、コインチェックにはそれ以上の資産があるということ。
コインチェックの2017年3月期の売上高9億8000万円、営業利益は7億1900万円。
営業利益率はなんと73%!
FX会社の営業利益率は10%程度です。
昨年は仮想通貨ブームとなり、取引業者の収益は爆発的に膨らんだことでしょう。
460億円もの補償をした後でも、コインチェックの2018年3月期の純資産は1年前のそれを上回ると予想されています。
この利益率がマネックスにとって魅力的であったから、買収の決断に至ったのでしょう。
仮想通貨業界への参入障壁が低くなる
そもそもマネックスグループは仮想通貨取引業への参入に向けて、マネックスクリプトバンク株式会社を設立して準備を進めていました。
しかし、金融庁から仮想通貨取引所として認可を受けるのはとってもハードルが高いのです。
仮想通貨取引所の登録制が開始されたのは、2017年4月。
それよりも以前に取引所として営業していた業者に対しては、金融庁の登録基準を満たさなくても「みなし業者」として運営を続けられることになっていました。
コインチェックも「みなし業者」として運営していた取引所です。
その「みなし業者」が流出事件を起こしたことで、今後新たに取引業を開始するのはハードルが高いとされていました。
マネックスグループとしてはすでに「みなし業者」になっていたコインチェックを傘下に治めることで、スピーディーに仮想通貨取引業に参できるのです。
マネックスを待ち受けるリスク
今回の買収は、マネックスグループにとっては収益性が高い事業へいち早く参入できるプランです。
しかし、よくよく考えてみるとそれなりのリスクも考えられます。
追加の補償が必要になるかも
1月のNEM流出により金融庁は仮想通貨取引所へのチェックを厳しくしています。
2月以降、みなし業者のみならず、登録業者であるGMOコインですら行政処分を受けるなど、様々な業者がその影響を受けています。
今後、金融庁からの指導に対応していく必要があります。
それだけではなく、NEM流出事件が起きてからしばらくの間、コインチェックは仮想通貨の取引を停止していました。
コインチェックを利用していたトレーダーが機会損失を理由に訴訟に発展するケースが考えられます。
3月12日にコインチェックはNEMを保有していたユーザーに460億円の補償をすることを発表しましたが、さらなる補償を支払う可能性も考えられます。
アーンアウト条項に基づく買収であること
今回の買収額は36億円であることにフォーカスが当てられていますが、アーンアウト条項に基づく買収であるため、マネックスグループはそれ以上の額を支払う可能性があります。
アーンアウト条項というのは、買収合意後の3年間は買収された企業が活動を行い、その営業利益の50%を目処に買収した企業が追加で支払う必要があるというもの。
つまり、コインチェックとして2021年まで営業活動を行い、そこで稼いだ額によってマネックスは36億円に追加して旧株主(現コインチェック株主)に支払う必要があるのです。
アーンアウト条項はアメリカIT企業のM&Aにおいて適用されることが多いです。
急激な業績の成長が見込まれる企業の買収なので、企業価値を評価しにくいんですね。
これはコインチェックにしても大いにメリットがあります。
NEM流出や2度の業務改善命令から、コインチェックは顧客離れが考えられました。
しかしFXなど金融業で豊富なノウハウを持つマネックスグループの傘下に入ることで、それがある程度抑えられるのではないかと。
実際にこのニュースを好感して、マネックスの株価はストップ高となるほど急騰しています。
それだけマネックスグループ傘下に入ったコインチェックに対する期待が大きいのではないかと思います。
まとめ
マネックスのメリット
・収益性の高い仮想通貨取引業へのスピーディーな参入
マネックスのデメリット
・追加の支払い(補償)の必要性
要は、
「ハイリスク・ハイリターンなので36億円で買収できた」
ということです、すごく簡単に言っちゃうと(笑)
ネットでは「36億円は安過ぎる」という声もあります。
しかしマネックスはクリプトバンクを設立して仮想通貨業界への参入準備を進めていたことで、ノウハウを保持していて、リスクに耐えうるほど母体が大きいということを考えると、マネックスだからこそできた買収だったとも言えるし、妥当なものだったんじゃないかなと思います。
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