スワップポイントでは儲けることができない

「FXって毎日スワップポイントが付くから儲けられるんだよねー」

という言葉に踊らされてFXを始めようと思う方がいましたら、ぜひ覚えておいて頂きたいことがあります。

それは、、、、

スワップだけでは絶対に儲けられない

という事。

イギリスの国民投票でEUの離脱が決まってから一気に円高が進みました。

メディアで「円高の今がチャンス!」「スワップポイントで楽々収入!」などと謳ってFXがブームだという雰囲気を煽ったからなのか、FXトレードを始めようという方が増えてきます。

しかし、スワップポイントだけで儲けられるほどFXトレードの世界は甘くありません

今回はなぜスワップポイントでは儲けられないのか、なぜスワップポイントを煽る人が沢山いるのかを解説して、スワップポイントとの付き合い方を紹介します。

Contents

スワップだけでは儲からない理由

長年FXトレードを行っている人たちの間ではスワップだけでは儲からないという事は常識です。

「スワップだけで儲けられる」と信じて、損する人はとっても沢山いて、Twitterでもその様子を見ることができます。

FXを知らずにスワップだけを狙ってトレードをすると、スワップ以上の損失をもらってしまいます
FXを知らずにスワップだけを狙ってトレードをすると、スワップ以上の損失を被ります
スワップが付くように注文を重ねていくと知らず知らずに含み損が巨大になります
スワップが付くように注文を重ねていくと知らず知らずに含み損が巨大になります

「スワップポイントだけでは儲けられない」という今では常識となっている考えが浸透したのはリーマン・ショックの頃。

私はその頃はまだFXを始めていなかったのですが、私はFXの師匠に口を酸っぱく「スワップ狙いは儲からない」と言われました。

なぜスワップポイントで儲けられないのか?

その理由は、

スワップで儲けても価格差でむしろマイナスになる

からなのです。

スワップだけで儲けられたのは過去の話

スワップ狙いが儲からない理由は、スワップで儲けても価格差額で一気に奪われるからです。

ただスワップ狙いでも儲けることができた時期はありました。

それが2000年代前半〜2007年頃。

当時特に人気だった通貨はオーストラリアドルです。その頃の豪ドルの金利は10%近くあり、豪ドル円も下げ知らずの上げっぱなし状態だったのです。

2007年までは豪ドル円はロングしておけば儲かった
2007年頃まで豪ドル/円は下げ知らずで、買えば儲かるという時代が続いた

このように豪ドル円はいつ買っても儲かる状態だったのです。
もちろん下げる時もありましたが、レバレッジを低めにしてずっと持っていれば必ず上がるという状態が続いたのです。

かの有名な4億円主婦もこの動きに乗じて儲けたみたいですよ。

そしてロングを持っていればスワップも毎日数千、数万円と付いてくるという事でまさにスワップ派の全盛期でした。

しかし、覚えておいて欲しいのは、
この時期に儲けた人もスワップポイントではなく、
為替差益で大きな利益を出していたという事実です。

「スワップで儲けられる」と聞いた人が豪ドルをロングしたら、たまたま為替差益でガッツリ利益が出てウハウハという状態だったんです。

多くが退場に追い込まれたサブプライムショック

いつでも取り敢えず豪ドルを買っておけば儲かる時代だった2007年に起きた大きな事件がきっかけで変化が起こります。

それがサブプライムショック。

アメリカの住宅ローンが不良債権化とした金融危機で、リーマン・ショックの引き金となった事件とも言われています。

サブプライムショックのときの週足を見てみると、その衝撃が大きかったことが分かります。

サブプライムローン問題でスワップ派が限界を感じ始めた
サブプライムローン問題が表面化した時、豪ドルは1ヶ月で20円以上も値下がりした

サブプライムショックで豪ドル円は1ヶ月で20円以上も値下がり(円高)進行しました。

これまで取り敢えず買えば儲かるといわれた豪ドルに変化が起きたのです。

この時に多くのスワップ派が大損を被ったと言われています。

トレードについてろくに勉強もしないまま市場に参加してきたトレーダーが多くいました。

彼らは「何も考えなくても買えば儲かる豪ドル」に手を出したのです。

当然ストップもかけていません。

レバレッジも高く(当時は国内業者でも400倍のレバレッジが可能でした)、証拠金以上のマイナスになって退場に追い込まれたトレーダーも多くいたそうです。

コツコツ積み重ねたスワップ益がこうした急落で一気に吹っ飛んでしまうのです。

利益が吹っ飛ぶだけでなく、場合によってはマイナスになってしまいます。

ざっくり計算ですが、1ドル=105円として豪ドルと日本円のスワップが10%(2007年の水準)だった場合、
1万豪ドルをロングして得られるスワップ利益は、

105円 ✕ 1万通貨 ✕ スワップ10% ÷ 365 = 287円/日

1日で287円のスワップ益が得られるということです。

1ヶ月では287円✕30日=8,610円ですが、価格レートが20円値下がりすれば、マイナス20万円の損失を被ることになるのです。

8,610円を儲けるためのギャンブルに負けると、20万円の損失を被るんですよ?

あまりにも割りに合わなくないですか?

ストップを設定しているから大丈夫」「ロスカットがあるから大丈夫」と思ったあなた、

追証による借金を背負う覚悟はありますか?

ポンド絡みの通貨をやっていた方なら2016年10月のフラッシュクラッシュによって瞬間的に数百PIPSもの下落を経験したことでしょう。

これを経験したことのある方ならストップを設定していても、ロスカットがあったとしても安心ではないのです。

ストップやロスカットが間に合わず、
預け入れている証拠金以上の損失を被ってしまうことがあるのです。

これがいつ、どの通貨で起きるのか誰にも予想はできません。

瞬間的な変動・フラッシュクラッシュに対応する手段は下記の記事を御覧ください!

https://fx-kawase.site/trade-theory/how_to_deal_with_flash_crash

スワップ派を根絶やしたリーマン・ショック

サブプライム・ショックを乗り越えたスワップ派も、2008年に起きたリーマン・ショックによって値だやされました。

リーマンショック後の値下がりで、スワップ派は追証・ロスカット・退場に追い込まれた
リーマン・ショック後の値下がりでスワップ派のロンガーは相次ぐ追証・ロスカットで根絶やしにされた

リーマン・ショックでは、1ヶ月で約30円もの値下がりが起こりました。

こうした急落はポジションを自らの意思で手放すのではなく、保有するポジションに対してレバレッジが高すぎて耐えられなくなって手放したパターンが多いことは以前の記事で語りました。

https://fx-kawase.site/trade-theory/currency_rate_move_big_when_position_thrown_away

「もうこれ以上のマイナスには耐えられない、もう手放そう」
という事で仕方がなくポジションを手放したことによって急落が起きたのです。

スワップで儲けられると信じてロングポジションを手放さなかった人たちが、リーマンショックによって、追証・ロスカットそして退場へと追い込まれ、借金まみれになってしまったのです。

強制的にロングポジションが決済(ロスカット)されることで、ショートの注文が入り、連鎖的に1ヶ月で30円もの値下がりに繋がったのでしょう。

リーマン・ショック後の急落はいわばスワップ派が死んでいった跡とも言えるでしょう。

このサブプライムショック、リーマンショックがあって、スワップ派が絶滅して、その記憶が風化される前にFXを始めた人(私もです)はスワップは儲けられないという事をよーく知っているのです。

スワップでは儲けられないというのは歴史が証明しています。

ここ数年のFXの歴史を学べば明らかなんです。

「スワップで儲けよう」は単なる呼び水

スワップで儲けられると信じてFXに参入して、逆に損をしてしまう人は後を耐えません
スワップで儲けられると信じてFXに参入して、逆に損をしてしまう人は跡を絶ちません

長年FXをやっている方であればスワップで儲けられないことを十分に知っていても、新たにFXを始める方はそのことを知らず、スワップでコツコツ稼いでいこうとして、価格差で逆に大損を被ってしまう人が後を耐えません。

それは世の中に「スワップで楽々副収入!」といった形の事を謳って、FXを勧めるブログやホームページが多いからではないでしょうか。

それを見てFXを始めようと思ったあなたに一つ忠告です。

“スワップで儲かる”は単なる呼び水です

FX業者が顧客を獲得するために、「スワップで簡単に儲かるよ〜」と宣伝して口座開設を煽ってるに過ぎないのです。

またブログなどで宣伝しているのも広告収入目的です。

「スワップで簡単に儲かる」とを謳って、ブログ経由で口座申込があれば、FX業者からブログ主に報酬が支払われる仕組みです。

私は情報収集のため、FX関連の記事を書くブログやホームページを見ているのですが、スワップを呼び水に口座開設を勧めるものも非常に多いのです。

サブプライムやリーマンショックの苦い記憶がない人をスワップ派に引きこもうとしているんですね。

“スワップで儲かる”はただの広告報酬目当

「スワップで儲けられる」としてFXを進めるブログやホームページは非常に沢山あります。

こうしたものは口座開設によって広告報酬を得ることを目的にしたアフィリエイトサイトですのでご注意下さい。

アフィリエイトが悪い訳ではありません。

私もやっていますし(笑)

問題は、

  • 「スワップで儲けられる」と謳ってFXを勧めているブログ・ホームページの管理人はFXで実際にトレードしていない人か儲けていない人
  • スワップで儲けられないことを知っていながらアフィリエイト報酬目当てで口座開設を勧めている

ということなんです。

上にも書いてきたように長年FXトレードをやってきた方であれば、スワップでは儲からないという事を嫌というほど分かっています。

にも関わらず「楽々」「簡単」「毎日収入」というプラス面だけ強調して、マイナス面となるリスク(為替差額でポシャる、追証のリスク)をはぐらかして、「スワップで儲けよう」と謳うのはほとんど詐欺に近いものがあります。

「食べたことないけど美味しいですよ」とゲテモノ料理を勧められて、あなたはそれを食べますか?もしかしたらそれ毒物かもしれないですよ!

ここまで言ってもスワップに惹かれてFXに手を出すのは、スワップというのはポジションを持っているだけで利益が生み出されるため、FXは簡単だと錯覚してしまうに他なりません。

もし「スワップで楽々副収入!」を夢見てFXの世界に入り込もうとしている方がこのブログを見ていましたら、全力でFXを諦めるよう訴えたいと思います。

FX相場はルールを覚えるだけなら株や先物よりは簡単ですが、簡単に稼げるほど楽ではありません。

楽して儲けようとギラついている欲望まみれの人ほどしゃぶり取られてしまいます。

参考記事:誰も教えてくれない!副業FXの本当の話

ポジションを持っているだけで儲けられるというのは真っ赤なウソというのをよく理解しましょう。

スワップポイントとの付き合い方

金利差益によるスワップポイントは単なる”おまけ”として捉えましょう。

スキャルピングの人なら関係ありませんが、デイトレ・スイングのスタイルの人だと多少のプラス・マイナスが付くこともあるでしょう。

プラスになったらラッキーくらい、マイナスなら単なる手数料程度に考えておきましょう。

スワップポイントはFXトレードの本質ではなく、単なるおまけなのです。

スワップポイントで儲けている人の本質は”うねり取り”

しかしながら、世の中にはスワップポイントで収益を挙げている方がいらっしゃるのも事実です。

こちらのブログは豪ドルのスワップポイントで毎年安定した収益を挙げている方のブログです。

http://fxtrade365.blog78.fc2.com/

しかし、この方はスワップポイントだけで収益を出しているのではありません。

儲けている本質は”うねり取り”にあるのです。

うねり取りとは株取引の世界では有名な手法の一つで、細かい値動きの上下を捉えるのではなく、周期的に訪れる大きな波を取っていくというものです。

上で紹介したブログの方もそうですが、本当の儲けはうねり取りによる価格差益から生まれているのです。

スワップポイントはあくまで価格差益のおまけとなっています。

FXは価格差で利益を得るものだということをよく覚えておきましょう。

必ずストップは設定して、どういう値動きをするのか、いつ上がるか、いつ下がるか、各国の経済・政治の動向やチャートパターンから価格変動を予測して売り買いをするものなのです。

ポジションを放置してるだけで儲かるなんてことは絶対にありえないのです。

うねり取りなど長期保有のスタイルにお勧めの口座

FXは為替差益で儲けるものということが十分に理解できても、例えば豪ドルをロングで長期保有する方はスワップポイントが付いてきたら嬉しいですよね?

うねり取りのスタイルで1万通貨だけであったとしても、3ヶ月ほどポジションを維持すれば数千円〜1万円近くのスワップポイントが得られます。

そうなるとスワップポイントはなるべく高い方が良いですよね?

そうした方にお勧めなのが日本の業者です。

海外FXの場合、スワップポイントはトレーダーに不利な形で付いてしまいます。

日本国内のFX業者の中でも特にオススメしたいのはヒロセ通商です。

スワップポイントの高さとスプレッドの狭さをトータルで考えると、ここを使うのが資金効率が最も良いと思います。

ヒロセ通商の評価はこちらから

私はうねり取りのスタイルではないので、海外FXを利用しています。

スキャルピングやデイトレ、スイングくらいの場合なら海外FX会社の利用がオススメです(むしろ海外FXを利用した方がいい)。

決めたところでちゃんと約定してくれる(約定力が強い)のは海外FX会社です。

しかし、海外FXはスワップポイントが低いため、長いことポジションを持っているとスワップポイントも無視できない要素になります。

そしてうねり取りはゆったりトレードのスタイル。

数日に1回、しかも任意のタイミングで成行注文が基本ですので、約定力はあまり重要ではありません。

そのため、うねり取りを実践したい方は長期保有でスワップポイントがガッツリ付く国内FX会社の利用が向いているのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スワップでは儲からないということがお分かり頂けただけでなく、FXの裏側が少し見えてきたのではないでしょうか(๑•̀ㅁ•́๑)✧

今回の記事のおさらいです!

  1. スワップポイントだけでは儲けられない
  2. 価格変動によってスワップポイントの利益は一瞬で消される
  3. 「スワップだけで儲かる」と言ってるのは広告収益目的
  4. FXは価格差、レート変動によって儲けるもの。スワップポイントは単なるおまけ

スワップで儲けるための研究(だぶん無駄な努力)をするよりも、為替差額で儲けるための手法を研究する方がよっぽど手っ取り早く稼げますよ!

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